映画:『それでもボクはやってない』2007年10月28日

ある日突然、あなたは犯罪者になって裁かれてしまう…。そんなある意味起こりそうも無いことが、現実として行われているということ。その問題に突っ込んだ映画かなと思います。周防監督の作品はほのぼのしていてコミカル。それでいて奥深くて面白いという幹事の作品が多い中。これは明らかに一線を画しているものです。

今回久々に借りてきて見たのが、周防正行監督の『それでもボクはやってない』。フリーターの金子徹平(加瀬亮)は会社の面接をするという大事な日に、混雑極まりない列車に乗ったことで事件は始まります。乗り換えの駅で降りると、女子中学生から声をかけられ、痴漢の容疑で事務所へ連行されてしまう。

気が付けば警察官に連行され、状況が飲み込めないまま事態は進行し、取調べへ。やってないことを主張しても通らず、留置所の中に。同室の詐欺師におしえられて、当番弁護士を呼んでもらいはなしをしたが突きつけらた現実は希望のかけらも無かった。有罪率は99.9%だ。千件に一件しか無罪はない…。

それでも、自らの潔白を晴らす為に、裁判を戦うことに。支援してくれる弁護士、母、友人、それからおなじ冤罪被害で戦っている佐田。彼らの力をかりて、1年にも及ぶ裁判。下されたものは…。

この映画は、痴漢の冤罪にあった主人公からみた不条理さを軸に話が展開していきます。そこに潜むのは、日本の裁判制度の実態。事実を明らかにする場であるはずが、結局は証拠と調書の整合性を判断する場所に置き換わってしまっていること、裁判官のさじ加減一つで有罪にも無罪にもなりうること。

裁判の様子は多くの取材をきっと重ねて作ったんだろうと思わせるくらい、リアルな感じになっていました。私個人として裁判をしたこともありませんし、見たことも無いので官職しか分からないけれども。結局、自分たちが裁判をみたところで、詳しくは良くわからないだろうなあと感じてしまうのではと思いました。

この映画は、ある意味、陪審員制度が導入されることによる更なる危うさを間接敵にかもしれませんが表し
ている気がします。『裁判』これは日常生活からは普段遠いところに位置している。それにいきなり巻き込まれることになるということへの不安。難しさ、現実とのギャップと言うものを感じる。

風刺的な側面もあると思いますが、それ以上にこの作品を見て思ったのは、日常における落とし穴の深さだったり、いきなり『裁判』というものに巻き込まれることへの責任の所在だったりを考える、ちょっと怖くなってしまいました。純粋にストーリー自体が良くできていて、またそれを表現する役者が見事と言うこと
もあるのだと思いますが。

個人的には考えさせられるものがかなり多かった作品です。これはある意味多くの人が、裁判を知る上でも見て損は無い映画かもしれません。

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